第7回 鈴木万平糖尿病国内賞 受賞者

受賞者、推薦者及び受賞理由

個人

受賞者 石井 均 氏
業績 糖尿病患者の心理と行動に関する領域の開拓と普及
推薦者 寺内 康夫 氏(日本病態栄養学会 理事、日本糖尿病協会 理事)
受賞理由 糖尿病患者の心理と行動に関する問題点と対処法・理念の重要性を啓発するため、米国糖尿病学会(ADA)の出版物を翻訳し、広く流布した。糖尿病患者の心理と行動の関する解説書、また症例集やカウンセリングに関する著書により、医療関係者に療養指導の規範を示した。日本糖尿病学会、同協会や療養指導士認定機構の出版物を分担執筆することにより、特に療養指導士の教育に役立てた。「糖尿病‐心理と行動研究会」はコメディカルを主な対象として5回開催されたほか、各地でカウンセリングに関する講演と実習を行った。糖尿病問題領域質問票(PAID)の日本語版は数多くの臨床試験で用いられ、その成果が学会等で報告されている。これらの理念は、メンタルヘルス外来など日常の診療にも活かされている。これらの業績は、本賞に値する。
受賞者 大森 安恵 氏
業績 糖尿病のある女性の妊娠、出産を可能にした功績
推薦者 武田 倬 氏(日本糖尿病協会 理事)
受賞理由 1960年代には考えられなかった「糖尿病と妊娠のCureとCare」の分野を開拓し、糖尿病女性に妊娠・出産に対する希望を与えた。1964年に糖尿病妊婦の分娩を初めて成功させ、以降640児を出産に導いた。1985年に「糖尿病と妊娠に関する研究会」を立ち上げ、血糖コントロールの重要性を説き、周産期死亡率を低下させるとともに、2000年に研究会を「日本糖尿病・妊娠学会」へと発展させ、得られた知見をコメディカルにも普及した。血糖コントロール不良の妊婦では高頻度に奇形児が出生することから、日本赤十字社に働きかけ2009年から献血時に糖代謝異常の検査が施行されるようになった。大森氏の業績を受けて全国で糖尿病女性の妊娠への理解が広まり、多くのコメディカルがこの分野に参加されるようになった。大森氏の著書は妊娠を希望する糖尿病女性のバイブルとなっている。これらの業績は、本賞に値する。

団体

受賞団体 特定非営利活動法人 青森糖尿病療養指導研究会(ADES)
業績 地域における糖尿病療養指導士の育成と地域住民への糖尿病啓発活動の実践
推薦者 佐藤 讓 氏(日本糖尿病学会 理事、日本糖尿病協会 理事)
受賞理由 本会は、糖尿病療養指導士を育成するとともに、地域における糖尿病療養の啓発に係わる事業を行うことにより、糖尿病患者の健康と福祉の向上に寄与することを目的として、2000年7月に設立された。東北地区で最初に地域糖尿病療養指導士認定制度を導入し、これまでに1,000名余りの青森糖尿病療養指導士(ACDE)を育成してきた。年4回の研修会には、専門病院からだけではなく幅広い医療スタッフが400名前後参加している。ACDEは患者への適切な療養指導を行うほか、施設内でのスタッフの育成、情報交換、研修会や地域での健康教室、療養相談などを行っている。また、本会は「糖尿病オープンセミナー」の開催や小児サマーキャンプ、ウォークラリーなどに多くのスタッフを派遣するなどの活動を行っている。これらの業績は、本賞に値する。